前職は、半分向いてて、半分向いていない仕事だった。
経理の仕事は性に合ってて好きだったし、
こんな私でもお客さんに頼ってもらえたり、
安定はしていた。
休日は美味しいごはんも食べに行けるし、
旅行もライブも好きなだけ行ける。
遠出するのに特別気を遣う相手もいない。
特に不自由はない。
でも代わりに充足感もない。
ずっと「このままでいいのか」という思いがありながら、
行動に移せない自分がいた。
そんな時よく聞いていた曲があった。
私はいつでも自由だった。
両親にも不自由のない生活させてもらい、
習い事も好きなことをやらせてもらっていた。
だけど自分が本当に気になること、
好きなことには昔から手を出せないでいた。
私は自分と向き合うことが苦手だった。
人の言葉や視線に敏感で、
それを「怖い」と強く感じるようになってから、
自分のやりたいことも、人にどう思われるかを気にして生きていた。
失敗することが怖くて、
失敗すると自分の全てが否定される気がして、
失敗から逃げていた。
自分がやりたいことに、
誰の許しがいるわけでもない。
でも誰かに許されないと生きられない。
それは失敗した時に、
誰かの、何かのせいにしたいから。
誰かの、何かのせいではなく、
自分が選んだこと。
でもそれを認めると苦しいから、
できないことを環境のせいにしたり、言い訳を積み重ねて、
いつのまにか自分が求めるものとは程遠い場所に、
進んでしまっている。
それでもその曲は
「君は自由だから。」と
いきたい場所まで行けるようにと祈ってくれていた。
「わたしにはなれない」と勝手に諦めていた
デザイナーの道を選んだ。
自分が本当にやりたいことを後押ししてくれた、
わたしにとってのお守り。
過去も、今も、未来も、
この曲は厳しくも優しく、
私を見守ってくれている。

