魔法のポット

窓の外の星を眺めながら

あったかい紅茶でほっとひといき。

魔法のランプがあったら、
どんな願い事を叶えてもらおう。

甘いお菓子をたくさん出してもらおうかな。
どこか遠い国に連れてってもらおうかな。

窓の外の星を眺めながら、
そんな夢のような空想を巡らせていると、
お湯が沸いた合図がした。

どうせ何も起きないと
分かっているけど、
ポットをキュッとこすってみた。

やっぱり何も起きなくて、
そこには温度があるだけ。

「やっぱりね」と
クスッと彼女は笑った。

お気に入りの紅茶を淹れて、
甘いお菓子と、
旅先の雑誌をお供に、

また空想の世界へ。